令和2年の年末調整について②

そろそろ年末調整のための控除証明書が届き始めています。経営者の方も従業員の方も失くされないよう、保管されておいて下さい。


<控除証明書の電子データでの提出について>

前回は、今年の年末調整から、従業員から提出される控除証明書を電子データで受け取る事が出来るようになった案内を致しましたが、まず大前提としてご確認が必要なのは、以下の2点です。

  1. 所轄税務署へ「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出する必要があります。この申請書は、当職が電子申請により代理することが可能です。
  2. 使用されている給与計算・年末調整ソフトが、対応しているかどうか確認する必要があります。

当事務所が使用しているミロク情報サービスのソフトは、EdgeTrackerを使用しない場合は、従業員の方に国税庁のソフト(前回の記事にリンクを貼っています)をダウンロードしてもらい、提出されたデータをインポートする方法になります。


<申告書の様式変更について>

今回の年末調整からの大きな変更点ですが、昨年は、従業員配布用の申告書は、それまでの2枚から「扶養控除等(異動)申告書」と「配偶者控除申告書」と「保険料控除申告書」の3枚に増えました。このうち「配偶者控除申告書」については、配偶者のいない方は記入・提出は不要でしたが、今年からは、

  • 「扶養控除等(異動)申告書」
  • 「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」
  • 「保険料控除申告書」

の3枚になり、「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」は、基本的にほぼ全員に書いて提出してもらう必要があるとご認識下さい。

まず、基礎控除の欄については、合計所得金額が2,500万円以下(年収2,695万円以下)の方は記入が必要になります。そのため、ほぼ全員と記しました。

制度の趣旨としては、合計所得金額が2,500万円超の方は、改正により基礎控除が無くなったため、記入の必要がないというわけです。

次に、所得金額調整控除の欄については、年収が850万円を超える方で、次の4つの要件のいずれかに該当する場合に記入が必要になります。

・所得者本人が特別障害者・同一生計配偶者が特別障害者・扶養親族が特別障害者・扶養親族が年齢23歳未満(平成10年1月2日以後生)

制度の趣旨としては、改正により年収が850万円を超える方の給与所得控除が減ったため、子供がいるような場合は、その分控除額を増やせるという事です。

(記載例:国税庁)


今年の年末調整は、歴代の中で最も煩雑な事務手続きになります。事前に今から準備をされておいて下さい。年末調整の手引きや申告書、源泉所得税の納付書が税務署から届きましたら、中身をご確認下さい。


また、先の電子データの提出についての会社の方針、「基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書」申告書の提出などについて、従業員の方にも周知をして頂き、申告書の提出期限を設け、守って頂くよう徹底されて下さい。


国税庁の年末調整のリンクのページを貼っておきます。申告書などこちらでダウンロードされて、従業員の方に配布されて下さい。